素敵なあなたに 2019年10月号 No.432
コーヒーを楽しめる幸せ
10月1日は「国際コーヒーの日」。コーヒーを楽しみ、生産農家の現状を知るための日です。日本では秋が深まり、温かなコーヒーがおいしい季節。遠い生産地に思いをはせながら、手塩にかけて育てられた香り高い一杯を味わいましょう。
新企画! 輝く山に抱かれて
タンザニア・ルカニ村通信 〜vol.5
キョーワズ珈琲が支援するフレンドシップコーヒーの産地、タンザニア・ルカニ村の自然や暮らし、コーヒー栽培について、京都大学農学研究科の辻村英之教授がレポートします。
▶︎コーヒーによる教育支援
前々号の「タンザニア・ルカニ村通信Vol.③」「コーヒーによる教育支援」で述べたように、「コーヒー危機」と呼ばれた2001~02年のコーヒー価格暴落で、ルカニ村の多くの若者たちが、利益を得られないコーヒー生産をあきらめ、街へ出稼ぎに出てしまいました。
街での雇用に恵まれずに村にとどまった若者たちは、森林の林木を過剰に伐採し、街の材木店に販売するようになりました。同様の理由で、コーヒーからトウモロコシへの転作が急速に進んでしまいました。日陰がないと健全に育たないコーヒーとは対照的に、トウモロコシは直射日光を求め、やはり森林破壊を促してしまいます。
前号「コーヒー栽培が森林を守る」でお伝えしたように、キリマンジャロコーヒーの伝統的な生産方法(キリマンジャロ山住民・チャガ民族のアグロフォレストリー農法)が2011年、世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。認定者である世界食糧農業機関(FAO)はもちろん、上記のアグロフォレストリーの危機を認識しており、逆にこの「次世代に受け継ぐべき遺産価値」を喪失しないよう認定したのだと言います。
筆者たちは、この「次世代に受け継ぐべき遺産価値」を守るため、価格を引き上げて生産者の利益を確保する、コーヒーのフェアトレード(「キリマンジャロ・ルカニアラビカ」の取引)をはじめました。
村民たちはすぐに、コーヒー生産の意欲を取り戻しました。農協が主体となって、まずはコーヒー(有機生産可能な耐病性を高めた新品種)の苗木、そしてシェイドツリー(コーヒーに木陰を提供する庇陰樹)の苗木を村民たちに配布し、コーヒー産業の復興に努めはじめました。さらなる森林破壊は止まり、シェイドツリー(林木やバナナの木)の苗木の成長にともなって、アグロフォレストリーが戻りつつあります。
このように、皆さまに「キリマンジャロ・ルカニアラビカ」コーヒーを飲んでいただくことで、コーヒー生産が再度、村民たちにとって魅力的なものになり、キリマンジャロ山の森林保全が促されます。コーヒーを飲むことで、森林を守ることができるのです。
辻村英之(京都大学農学研究科・農業食料組織経営学教授)
コーヒー栽培の再開─庇陰樹であるバナナの栽培がともなう─
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ブラジルやタンザニアのキョーワズ珈琲指定農園で育てられた選りすぐりの豆を、こだわりのブレンド、焙煎で仕上げたプレミアムコーヒーです。楽しいハロウィンにぴったりのかわいい限定パッケージでお届けします。
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