素敵なあなたに 2020年9月号 No.440
多彩な個性を楽しむ
厳しい残暑が続きますが、季節は確実にめぐっています。夏の間はもっぱらアイスコーヒーだった人も、香り高いホットコーヒーのおいしさを再確認できる時季ではないでしょうか。続々とお目見えする秋の味覚に負けない、多様な個性を持った世界各地のコーヒーを楽しみましょう。
フレンドシップコーヒーの取り組みが、
SDGsの目標達成につながる
キョーワズ珈琲のフレンドシップコーヒーのひとつ「タンザニアキリマンジャロルカニアラビカ」にスポットを当て、「SDGs(持続可能な開発目標)」との関わりを3回にわたって紹介します。タンザニア・ルカニ村のコーヒー栽培の復興・振興を目指す「ルカニ村・フェアトレード・プロジェクト」は、SDGsの17の目標のうち、7つの目標達成につながっています。今回はそのうち3つの目標との関わりを紹介します。
村のコーヒー生産を持続可能なものに
ルカニ村で貧困削減・飢餓撲滅に役立っている農産物は、村民の主食であるバナナ・牛乳・トウモロコシです。特にバナナ・牛乳は、自給用「食料」のみならず、地元の青空市場で買い物する「財布」の役割を果たします。現金を持たずに生活している村民は、バナナ・牛乳を市場に持参し、まずは販売に努めます。その販売代金で、自ら生産できない野菜・衣類などの生活必需品を購入するのです。
2001~02年、「コーヒー危機」と呼ばれた価格暴落により、ルカニ村民はコーヒー生産を断念し、トウモロコシやバナナを、コーヒーに代わる「利益」追求の作物にしてしまいました。特にバナナで多くの利益を得ようと、村民は都市に向けての販売を増やしました。干ばつになると、「財布」としてはもちろん、自給用「食料」としてのバナナも不足するようになります。
しかしフェアトレード(村のコーヒー生産を持続可能にする十分な代金の支払)のおかげで、つまりキョーワズ珈琲や消費者の皆さまが、つかう・飲む責任を果たしてくれたことで、コーヒーで利益を得られるようになりました。バナナは再度、「利益」追求でなく、「食料」「財布」のための農産物に戻りました。遠くに販売せず、目の届く範囲で大切に生産・販売されております。生活必需品が不足する貧困化の危機から、脱することができたのです。
(京都大学農学研究科教授・辻村英之)
左:バナナの木陰でコーヒーを栽培 右:青空市場で主食のバナナを販売
Pick Up情報
選りすぐりのコーヒーを楽しむことが
産地の暮らしを豊かにします
環境保全につながるアグロフォレストリー(農林蓄複合システム)農法で、村人たちが丹精込めて育てたコーヒーです。ルカニ村産キリマンジャロならではの、力強いボディと適度な酸味が調和した存在感ある口あたり、後味の良さをお楽しみください。
●オンラインショップ
【ストレートコーヒー】
〈タンザニア〉キリマンジャロ ルカニアラビカ
100g/842円(税込)