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生産者支援
フレンドシップコーヒーとは教育支援: ネパール / タンザニア ルカニ村フェアトレード


教育支援
タンザニア ルカニ村
2008年より取り組みを開始。
京都大学農学研究科・辻村准教授が中心となりコーヒー産業復興をめざす
タンザニア「ルカニ村・フェアトレードプロジェクト」に賛同しています。
辻村准教授
京都大学大学院農学研究科・生物資源経済学
辻村英之准教授
プロフィール
1996年から東部アフリカ・タンザニアのキリマンジャロ山中にあるルカニ村を毎年訪問し、農家・農協の経営、コーヒーの生産・流通、フェア・トレードなどの研究を行っている。
著書に
『おいしいコーヒーの経済論』『コーヒーと南北問題』など。
研究のかたわら、2001年より「ルカニ村・フェアトレード・プロジェクト」(http://homepage2.nifty.com/tsunji/)を実践し、同村における図書館・中学校の建設、有機生産が可能なコーヒー苗木の普及、保育園・塾の整備などを支援している。
フェアトレードによる生産者支援の具体的内容を消費者に伝えること、そして「生産者支援できる」ことをコーヒーの「新しい品質」であるとみなす「新しい消費者」の増加、などが重要であると主張。

「キリマンジャロ」を飲んでルカニ村に中学校を建設しよう
辻村英之 (京都大学大学院農学研究科・生物資源経済学)

【前編】
万年雪を抱くアフリカ大陸最高峰・キリマンジャロ山(標高5,895メートル)。ルカニ村はその西斜面(標高1,500〜1,700メートル)にある、チャガ民族の1農村(人口1,482名、世帯数355戸)です。
日本においては「ブルーマウンテン」や「モカ」に次いで人気の高い「キリマンジャロ」ですが、ルカニ村の標高の高さは1日の気温差を導き、さらに上質な甘味、酸味、香りを生み出します。
私は93年に初めて同村を訪問し、村民の暖かさ、素朴さ、真摯さ、快活さに強く惹かれました。
96年以降はほぼ毎年、同村に1〜2週間滞在し、コーヒーの流通、農協、農家経営などについての学術調査を続けております。
ところが近年、2001〜02年にかけて史上最安値の水準にまで落ち込むなど、コーヒーの国際価格の低迷が目立ちます。
ルカニ村においても、コーヒーの販売収入が激減し、村民は教育・医療・社会開発への支出を大きく削らざるをえない状況に追い込まれております。
コーヒー栽培をあきらめて、街へ出稼ぎに出る村民も増えました。
日本の消費者が愛好してきたキリマンジャロコーヒーの甘酸っぱい香りと味を、喪失してしまう危機でもあります。
このような悲況から脱却するため、「最低価格の保障」と「還元金(産地の社会開発経費として利用)の支払」の2つの手段により、ルカニ村民の生活やコーヒー生産を支援する、ルカニ村・フェアトレード・プロジェクトを開始しました。
この還元金により、図書館が完成しました。

今後はこのフレンドシップコーヒーを飲んでいただくことで、ルカニ中学校の建設を支援することができます。
【後編】
前編へもどる
キリマンジャロ山中におけるコーヒー栽培は、キリスト教会の主導により1901年にはじまりましたが、小農民による栽培が大きく普及したのは、第二次世界大戦が終わってからです。
戦後から50年代にかけて国際価格が大きく上昇し、コーヒー販売で新しい家屋を建てられるようになりました。それに引き付けられ、小農民がこぞって、主食であるバナナの畑の中にコーヒーを植え付けたようです。
キリマンジャロ山の住民(チャガ民族)はコーヒーの販売代金を、主に農業経営費、家屋建設費、教育・医療費として支出します。特にチャガ民族は教育を重視することで有名で、その高学歴が政治・経済の要職の確保を容易にするため、他民族からねたみを買うほどでした。その教育重視を支えていたのが、まさにコーヒーの販売収入であったわけです。
ところがコーヒーの最盛期は長く続かず、70年代は病害の発生、80年代は樹木の老化で収穫量が大きく減少しました。
そして90年代以降は、2001〜02年にかけての
「コーヒー危機」(国際価格の史上最安値)が象徴するように、
コーヒー価格の低迷が著しくなっております。
その結果、子どもたちは進学の断念や休学を余儀なくされることもあります。
村民たちは大切に管理してきた資産(林木・家畜・農地)の販売により、なんとか教育経費を捻出しておりますが、教育面での優位性を失いつつあります。
このフレンドシップコーヒーは、最低価格が保障されております。村民たちが増産に努めれば、教育経費を容易に確保できる水準の価格です。
また還元金によって、ルカニ中学校の建設が進んでおります。
香味を楽しむだけでなく、生産者の教育支援もできるコーヒーです。

「キリマンジャロ・ルカニアラビカ」コーヒーによる森林保全
辻村英之 (京都大学大学院農学研究科・生物資源経済学)

コーヒーの木は直射日光を嫌うため、日陰樹(シェイドツリー)の木陰で栽培されてきました。
しかし近年、品種改良が進んで「サン」コーヒーが増加したことで、森林破壊が進んでしまいました。スーパーでよく見かけるようになった「レインフォレストアライアンス(熱帯雨林同盟)」や「バードフレンドリー(鳥に優しい)」は、その森林破壊を避けるため、多くの樹木の下での栽培が認証されているコーヒーです。

キリマンジャロ山中のルカニ村においても、昔から自生する林木、果樹、そして村民の主食であるバナナなどが、コーヒーの木に日陰を提供しています。森林保全的な農法として注目されている「アグロフォレストリー」に近い、コーヒー生産が実現しております。

ところが近年、コーヒー価格が低迷し、街へ出稼ぎに出る村民が増えました。街での雇用に恵まれない若者は、林木を積極的に伐採し、街の材木店に販売しております。同様の理由で、コーヒーからトウモロコシへの転作が急速に進みましたが、トウモロコシは逆に直射日光を求めるため、やはり森林破壊を促しております。
 
皆さまにフレンドシップコーヒーを飲んでいただき、コーヒー生産が再度、村民たちにとって魅力的なものになれば、キリマンジャロ山の森林保全につながるでしょう。

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