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キョーワズ珈琲の取り組み

KYOWA’S COFFEEの取り組み ネパール コーヒー栽培プロジェクト

教育支援:ネパール

1998年にスタートしたニルマルポカリ村の教育支援に併せて
村の自立と安定を求めたプロジェクトに賛同しています。

「一杯のコーヒーがネパールの子供たちの笑顔に」
ヒマラヤの風が育み ― ネパールの教育を支えるコーヒー栽培
一刈吉房(キョーワズ珈琲株式会社 顧問)

首都カトマンズから30数分、窓の右手に連なるヒマラヤの雄大な山々を眺めながらポカラに着きます。
機から降り立つとポカラの象徴、マチャプチャレ(6993m)が迎えてくれます。この街を基点に、多くのトレッカーがアンナプルナ連峰の山深くトレッキングに繰り出して往きます。
私の目的はトレッキングではなく、ポカラの街に近いニルマルポカリ村です。1998年から始めた教育支援のお手伝いです。教育の機会に恵まれない山村の子供たちのため、小学校の建設を見守りました。10年間を支援期間とし、幼稚園から高校までの設備を整え、教育支援は一先ず終了しました。
然し、収入のない村人が学校を運営するのは不可能な事です。それを案じ、村人が収入を得るには、と考えられたのがコーヒー栽培です。そして2003年から、私もこの栽培事業に手を添えてきました。
ニルマルポカリ村はポカラの郊外にあり、学校は1200m位の山の稜線に建っています。
ヒマラヤの山々を一望出来る風光明媚な場所ですが、村には四輪駆動車で約90分、絶壁に近い悪路を登ります。腸がよじれそうです。だから私は専ら村人の生活道を歩いて登ります。狭くて険しい道でも楽です。途中、子供たちの「ナマステ」… こんにちは、の元気な声に癒され、点在するコーヒー農家を訪ねるのも楽しみです。

コーヒーは植樹して収穫までに4~5年を要します。同じ03年に植樹をした農家でも地形条件の違いで、既に収穫も始まり収入のある家、まだ収入のない家と悲喜交々です。広々としたコーヒー畑を想像しないで下さい。急峻な山の狭い棚田のような庭先に樹を植えています。季節には女・子供総動員、水を与えるのも大変な作業です。国際協力事業団(JICA)の支援で水供給のインフラは多少改善されましたが、総ての畑までは賄えません。
村人が待ち望んでいた収穫は、一部の地区で2年ほど前から始まりました。今年1月中旬、農家の庭先には赤く熟したコーヒーが実を付け、赤い皮を除去したコーヒーが干されていました。満遍なく太陽を浴びるよう混ぜ返す老婆、思わず「ダンネバード」… 有難う、と声をかけました。このような順調な農家は稀で、まだまだ、手を貸さねばならない農家の方が多いのです。
村は地形や気象条件に恵まれています。日中は太陽の恵みを一杯に浴び、夜はヒマラヤの冷気を受け、独特な味のコーヒーを作り出します。
宿から眺める村の景色、山に点在する農家の明かり、決して明るくないが温かみを感じます。明日もまた眼のパッチリとした子供たちに会おう、そして、ナマステと声をかけよう。子供たちが安心して勉強できるようコーヒー栽培のお手伝いをしよう ― と考えながら「湯たんぽ」が入ったベッドに潜りました。

事業背景
キョーワズ珈琲は「ネパール国カスキ郡ニルマルポカリ村コーヒー栽培による農業開発事業」を含め、コーヒー(ネパール ヒマラヤン アラビカ)販売を通じてニルマルポカリ村を支援してきました。村民がコーヒー栽培・収穫・精製・出荷までのプロセスを管理運営することで、村の活路を見出そうという動きがあり、この事業を提案しました。生産技術能力・資金能力とも当村は不足しており、サポートすることで、ニルマルポカリ村・周辺地域を含めた地域活性に至ると考察されます。

自然の恵みを受けたネパールのコーヒー

ネパールコーヒー栽培の歴史は浅く、悲劇の王様、ビレンドラ国王の奨めで20年ほど前にネパール西方地域にコーヒーの苗木が植栽されました。ただ、そのコーヒーの樹は観賞用として存在しただけでした。2001年6月、不幸な出来事により国王は逝去されましたが、王様が残したコーヒーのDNAは、今、ネパールの財産になろうとしています。
1997年、NPO法人が起こしたニルマルポカリ村での教育支援は、学校の設立から始まりました。
この支援は、財政的に恵まれた村ではないニルマルポカリ村を、教育に留まらず、支援に頼らず、広く村人の自立を促したもので、自らが自立し子供たちの教育資金を稼ぐことにありました。そして2003年、弊社も加わり村で本格的なコーヒー樹の植栽がスタート。それから6年後には、村人の努力と、サポート支援の成果が叶えられ、収穫の秋を迎えるとともに、子供たちも大きく成長しました。
コーヒーの実る季節、高度1,300m の村は太陽の恵みをいっぱいに受け、夜はヒマラヤの厳しい冷気をうけるこの自然環境が、ヒマラヤンアラビカコーヒーの素晴らしいハーモニーを醸しだしています。
世界の屋根、エベレストをはじめ8,000mの山々を数多く擁すネパールですが、資源は乏しく豊かとは言えません。キョーワズ珈琲は、生産者が生産・生計を維持できるフエア・トレード精神に則り、「1杯のコーヒーがネパールの子供の笑顔に」を目指し、子どもたちの教育支援を続けます。


(写真はニルマルポカリ村の各コーヒー農家の調査とリスト作りの様子)

現場の様子
キョーワズ珈琲株式会社 福岡支店 福田光孝

一般的にアラビカコーヒーは、標高800m~1,800mが栽培適地と言われています。ネパールは、コーヒー栽培に適する標高(800m~1,800m)に恵まれ、寒暖の差があります。その条件に沿ったカスキ郡ニルマルポカリ村は、コーヒー栽培に恵まれています。
ネパール国では、15年~20年前に他国の支援により幾らか植付けられたコーヒーの木が、栽培方法を知らないが為に、巨木になり低品質や収穫量の少ない物が随所に見られ、このままでは今後のコーヒー栽培の行く末を示していました。
コーヒー栽培適地のカスキ地域で、世界的に通用するコーヒー栽培を行ってほしいと思い、この提案をしました。
コーヒーの木は一度実を着けた所は翌年は実がほとんど着かない性質があり、幹から新しい枝を作り、結実させる作業を繰り返して行かねばなりません。それを知らないと木は実をつける為に枝が先へ先へと伸び幹から外れて栄養状況の悪い実が着き、収穫はできるものの、土地効率も悪く、高木になり過ぎ、収穫もままならない木になります。
今後、適切にコーヒー栽培をして行くためには、この限られた土地で効率の良い換金作物にして行く必要が有ると思います。手入れ次第で、毎年元気な実をつけ収穫されると考えられます。
今サポート支援に於いて、組合を設立し、組織化をはかる事で、収穫・選別等の作業により、若者や女性へ賃金として労働力が還元されていきます。 ついてはコーヒー生産農民が、適切な栽培方法を学び、効率の良い収穫量の確保と均一化した品質の管理をし、換金率の高いグレードのグリーンビーンズ生産迄の作業が出来る環境にしたいと思います。


左:レッドチェリーのパルピング風景/右:コーヒーの苗木の植付け指導


整備して植え付けられたコーヒーの木(枯れて見えるのは、太陽の強い日差しから苗を守るシェードツリー、その下に元気に苗が育っています)